ほぼ使用していない固定電話(加入電話)に掛かる毎月の回線使用料が高いと感じたため、
契約の解約と電話機の再利用としてIP電話として使えるようにしました。
新しいファームウェアアップデート手順に更新しました
はじめに
最近は、太陽光発電の勧誘や貴金属買取業者の営業、リサイクル業者のワン切り、
自動音声によるアンケート電話(オートコール)等のいわゆる迷惑電話しか掛かってきません。
そんなもののために毎月下記のような料金を支払っていると思うと無駄と感じました(税込)。
基本使用料 | 1,760.0円 |
---|---|
ナンバー・ディスプレイ | 440.0円 |
キャッチホン | 330.0円 |
キャッチホン・ディスプレイ | 110.0円 |
ユニバーサルサービス料 | 2.2円 |
電話リレーサービス料 | 1.1円 |
合計で月々2,643.3円+通話料という無視できない金額です。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際は、
PHS⇔固定電話で制限を受けずに通話できたためその後も維持し続けていましたが、
現在は様々な連絡手段が増えており、PHSは停波してしまったため必要性がなくなりました。
そこで、使用していない固定電話を解約し、IP電話を電話機で発着信できるようにしました。
固定電話(加入電話)の解約
固定電話の解約は、NTT東日本またはNTT西日本のウェブサイトから申し込めます。
ただし、ウェブからの申し込みは予約受付という扱いになります。
私の場合は、細かな内容が指定できなかったため、116に電話をして直接申し込みました。
以下の内容をやり取りして手続きを完了しました。
- 解約手続きの旨を伝える
- 契約者と申込者の確認
- 解約日を指定する
- 電話線の撤去工事(無料)は不要を伝える
- 局内工事日(実際の回線停止日)を伝えられる
- 最終確認
(基本使用料やオプション料金は解約日までの日割りとなります)
発着信も局内工事日まで可能です(当然ですが、発信時は通話料が掛かります)。
IP電話の契約
IP電話(050電話)の契約は、数年前に契約済みだった回線を使用する事としました。
使用サービスは「SMARTalk」(旧称:FUSION IP-Phone SMART)です。
現在は現在新規申し込みの受付を停止しているため、既存ユーザのみ利用可能です。
固定費の比較
通話の有無にかかわらずに発生する固定費の比較です(税込)。
名称 | 固定電話 | SMARTalk |
---|---|---|
基本使用料 | 1,760.0円 | 0.0円 |
ナンバー・ディスプレイ | 440.0円 | 0.0円 |
キャッチホン | 330.0円 | -(機能なし) |
キャッチホン・ディスプレイ | 110.0円 | -(機能なし) |
ユニバーサルサービス料 | 2.2円 | 0.0円 |
電話リレーサービス料 | 1.1円 | 0.0円 |
SMARTalkは固定費なしで利用できます(2022/07/20現在)。
通話料の比較
通話料の比較です(税込)。
通話先 | 固定電話 | SMARTalk |
---|---|---|
県内 | 8.25円 / 2分 | 35.20円 / 2分 |
県外 | 15.95円 / 2分 | 35.20円 / 2分 |
携帯電話 | 17.60円 / 1分 | 17.60円 / 1分 |
国際電話(アメリカ) | 9.00円 / 1分 | 16.00円 / 1分 |
国際電話(中国) | 29.00円 / 1分 | 16.00円 / 1分 |
国際電話(中国) | 30.00円 / 1分 | 16.00円 / 1分 |
IP電話(SMARTalk以外①) | 11.55円 / 3分 | ※ 52.80円 / 3分 |
IP電話(SMARTalk以外②) | 11.88円 / 3分 | ※ 52.80円 / 3分 |
IP電話(SMARTalk) | 11.55円 / 3分 | 0.00円 / 3分 |
※ SMARTalk提携プロバイダーおよび相互接続先IP電話の場合は無料
一部を除き通話料は全体的にSMARTalkが高いですが、
発信の頻度や固定費を考えると許容範囲内だと思います。
SIPアカウント情報の確認
SMARTalkのMYページへログインし、「ユーザアカウント情報」を選択します。
- ドメイン
- SIPアカウント
- SIPパスワード
各種設定
SMARTalkの設定をおこなっておきます。
着信転送/留守番電話設定
着信転送と留守番電話はどちらかを利用する、またはどちらも利用しないを選択できます。
今回は留守番電話機能が電話機にあるため、どちらも利用しないを選択しています。
着信拒否設定
着信拒否は、非通知拒否と指定番号拒否を設定できます。
今回は非通知拒否のみ設定しています。
VoIPアダプタの準備
VoIPアダプタは、グランドストリーム ネットワークス(Grandstream Networks)の
アナログ電話アダプタ(ATAs)であるHandyTone 812(HT812)を使用します。
電話番号を1つしか使用しないのであれば、HT801があります。
また、電話番号を2つ使用する場合でも、安価なHT802があります。
HT812はルータ機能を搭載していますが無効化する予定です。
にもかかわらずこの機種を選んだのは、上記HT801, HT802はLANが100Mbps接続であり、
HT812のLANは1000Mbps接続だったためです(ギガビットイーサで合わせたかった)。
ギガビットイーサにこだわりがなければ、HT801, HT802も選択肢に入ると思います。
VoIPアダプタの接続
VoIPアダプタにLANケーブル(ルータ)と電話線(電話機)をつなぎ、
ACアダプタを接続して電源を入れ、本体の地球儀マークが点灯する事を確認します。
VoIPアダプタの設定はブラウザでおこないますが、
アクセスするためにはVoIPアダプタのIPアドレスが必要となります。
ルータの設定画面からVoIPアダプタのIPアドレスを取得する
ルータに接続されている機器が表示できる場合、
割り当てられたIPアドレスを確認します。
VoIPアダプタに接続した電話機からIPアドレスを確認する
上記方法が使用できない場合、VoIPアダプタに接続した電話機を操作して確認できます。
① 電話機の受話器を上げ、[*]を3回押す([*]→[*]→[*])
② 「Enter a Menu Option.」と音声で応答があるので、[0]→[2]の順に押す
③ 「IP Address」の後にIPアドレスが英語で読み上げられるので、メモをとる
ファームウェアのアップデート
製品の購入時に書き込まれているファームウェアはかなり古いバージョンなので、
製造元から最新のファームウェアをダウンロードします。
VoIPアダプタへのアクセス
VoIPアダプタのIPアドレスへウェブブラウザからアクセスします。
→「http://192.168.1.10」へウェブブラウザでアクセスする
ログイン
ログイン画面が表示されたら「Username」と「Password」に「admin」を入力して
[Login]ボタンを押下します。
「Username」が表示されない場合があります。
その場合は「Password」に「admin」を入力して[Login]ボタンを押下します。
ファームウェアの更新
「STATUS」タブが表示されたら「ADVANCED SETTINGS」タブを選択し、
「Firmware Upgrade and Provisioning」内にある以下の項目を変更します。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
Upgrade Via | HTTP |
ファームウェアサーバへHTTPで接続します | |
Firmware Server Path | firmware.grandstream.com |
メーカ指定のサーバURLを設定します | |
Config Server Path | (空白) |
使用しないため削除します | |
Automatic Upgrade | No |
自動でファームウェアを更新しないように設定します | |
Always Check for New Firmware at Boot up |
(選択する) |
再起動時に最新ファームウェアへ更新します |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
その後、再度「ADVANCED SETTINGS」タブを選択し、ページ下部の[Reboot]を押下します。
本体の全マークが点滅してファームウェアのアップデートが実行され、
地球儀マークが点灯する事を確認して「Click to relogin」リンクを押下します。
ログインページが表示されればファームウェアのアップデートは完了です。
VoIPアダプタの設定
再びログインして各種設定をしていきます。
BASIC SETTINGS
タイムゾーンとルータの動作モードを変更します。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
Time Zone | GMT+09:00 (Japan, Korea, Yakutsk) |
機器のタイムゾーンを日本に設定します | |
Device Mode | Bridge |
ルータ機能を無効にしてスイッチングハブとして使用します |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
ADVANCED SETTINGS
ログインパスワードと電話の音に関する設定、NTPサーバの設定を変更します。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
New End User Password | 英大文字,英小文字,数字が入った8~20文字 |
新しいログインパスワードを設定します | |
Confirm End User Password | 英大文字,英小文字,数字が入った8~20文字 |
新しいログインパスワードを設定します(確認用) | |
System Ring Cadence | c=1000/2000; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
Dial Tone | f1=400@-19,c=0/0; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
Ringback Tone | f1=400@-19,f2=385@-20,c=1000/2000; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
Busy Tone | f1=400@-19,c=500/500; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
Reorder Tone | f1=480@-19,f2=620@-19,c=1500/1500; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
Confirmation Tone | f1=600@-16,c=250/250; |
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します | |
NTP Server | ntp.nict.jp |
NICT公開NTPサービスを設定します |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
ページ更新後はNew Admin PasswordとConfirm Admin Password
がカラになりますが、正常に反映されています。
VoIPアダプタをインターネットに直接接続する場合は、
追加で下記の設定も必要です(イタズラ電話防止のため)。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
Check SIP User ID for incoming INVITE |
Yes |
着信時に相手のSIPユーザIDを確認します | |
Allow Incoming SIP Messages from SIP Proxy Only |
Yes |
SIP通信の着信をSIPプロキシ経由に限定します |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
PROFILE 1
SMARTalkの仕様情報を設定します。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
Primary SIP Server | smart.0038.net |
「SIPアカウント情報」の「ドメイン」を設定します | |
NAT Traversal | Keep-Alive |
SMARTalkのサーバと切断されないように設定します | |
Preferred Vocoder choice 1 | G722 |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい | |
Preferred Vocoder choice 2 | G722 |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい | |
Preferred Vocoder choice 3 | G722 |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい | |
Preferred Vocoder choice 4 | PCMU |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい | |
Preferred Vocoder choice 5 | PCMU |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい | |
Preferred Vocoder choice 6 | PCMU |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい | |
Preferred Vocoder choice 7 | iLBC |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が4番目に大きい | |
Preferred Vocoder choice 8 | iLBC |
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が4番目に大きい | |
SLIC Setting | JAPAN CO |
電話機の仕様を日本に設定します | |
Caller ID Scheme | NTT Japan |
ナンバー・ディスプレイの仕様をNTTに設定します | |
Gain | TX +2dB |
受話器のマイク音量を上げる設定です |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
SMARTalk対応コーデック
PROFILE 2
今回はこの設定を使用しないため、変更しません。
FXS PORTS
User Settingsは「Port 1」のみ設定します。
変更する項目 | 変更後の値 |
---|---|
SIP User ID | SIPアカウント(電話番号から050を取り除いたもの) |
「SIPアカウント情報」の「SIPアカウント」を設定します | |
Authenticate ID | SIPアカウント(電話番号から050を取り除いたもの) |
「SIPアカウント情報」の「SIPアカウント」を設定します | |
Password | SIPパスワード |
「SIPアカウント情報」の「SIPパスワード」を設定します |
※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
ページ更新後はPasswordがカラになりますが、正常に反映されています。
設定は以上となります。
設定中の画面について
設定中に表示される画面についての解説です。
再起動が必要
[Reboot]ボタンを押下して機器を再起動します。
再起動中
本体の地球儀マークが点灯した後、
[Click to relogin]を押下してログインし直し、設定を継続します。
設定の保存完了
各タブを選択して設定を継続します。
設定後の「STATUS」タブ
「Port Status」の「Port」にある「FXS 1」行の「Registration」が、
「Registered」になっていれば正常に使用できる状態です。
「CDR File」は発着信履歴をダウンロード(CSVファイル),
表示(最新1000件まで),削除が可能です。
後は、実際に発着信を試してみて正常に通話出来るか確認して終わりです。
おわりに
物価上昇による様々な物やサービスが値上がりする中、
不要な支出を抑えて自衛していく必要があります。
固定電話の重要性が低下したからこそできる方法でもあります。