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VoIPアダプタ(HT812)でIP電話を固定電話として使用する方法

HT812 フロント デジタルツール
HT812 フロント

ほぼ使用していない固定電話(加入電話)に掛かる毎月の回線使用料が高いと感じたため、
契約の解約と電話機の再利用としてIP電話として使えるようにしました。

2022/07/23
  新しいファームウェアアップデート手順に更新しました

はじめに

最近は、太陽光発電の勧誘や貴金属買取業者の営業、リサイクル業者のワン切り、
自動音声によるアンケート電話(オートコール)等のいわゆる迷惑電話しか掛かってきません。

そんなもののために毎月下記のような料金を支払っていると思うと無駄と感じました(税込)。

合計で月々2,643.3円+通話料という無視できない金額です。

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際は、
PHS⇔固定電話で制限を受けずに通話できたためその後も維持し続けていましたが、
現在は様々な連絡手段が増えており、PHSは停波してしまったため必要性がなくなりました。

そこで、使用していない固定電話を解約し、IP電話を電話機で発着信できるようにしました。

固定電話(加入電話)の解約

固定電話の解約は、NTT東日本またはNTT西日本のウェブサイトから申し込めます。
ただし、ウェブからの申し込みは予約受付という扱いになります。

電話の休止・解約|不要になったとき|変更のお手続き|電話トップ|Web116.jp|NTT東日本
現在ご利用中の電話回線の休止・解約に関するNTT東日本からのご案内です。
電話サービスの利用休止・一時中断・解約|固定電話・加入電話|NTT西日本
加入電話(電話サービス)やINSネット(総合デジタル通信サービス)を利用休止・一時中断・解約される場合の手続きについてのご案内です。

私の場合は、細かな内容が指定できなかったため、116に電話をして直接申し込みました。
以下の内容をやり取りして手続きを完了しました。

  • 解約手続きの旨を伝える
  • 契約者と申込者の確認
  • 解約日を指定する
  • 電話線の撤去工事(無料)は不要を伝える
  • 局内工事日(実際の回線停止日)を伝えられる
  • 最終確認
解約日から局内工事日までは、基本使用料やオプション料金は掛かりません。
(基本使用料やオプション料金は解約日までの日割りとなります)
発着信も局内工事日まで可能です(当然ですが、発信時は通話料が掛かります)。

IP電話の契約

IP電話(050電話)の契約は、数年前に契約済みだった回線を使用する事としました。
使用サービスは「SMARTalk」(旧称:FUSION IP-Phone SMART)です。

スマホの通話料をトコトン安くする | SMARTalk
スマホの通話料を60%安くするIP電話サービス「SMARTalk!」ご利用中のスマホで050の電話番号が利用可能。月額基本料0円!

現在は現在新規申し込みの受付を停止しているため、既存ユーザのみ利用可能です。

固定費の比較

通話の有無にかかわらずに発生する固定費の比較です(税込)。

名称 固定電話 SMARTalk
基本使用料 1,760.0円 0.0円
ナンバー・ディスプレイ 440.0円 0.0円
キャッチホン 330.0円 -(機能なし)
キャッチホン・ディスプレイ 110.0円 -(機能なし)
ユニバーサルサービス料 2.2円 0.0円
電話リレーサービス料 1.1円 0.0円

SMARTalkは固定費なしで利用できます(2022/07/20現在)。

通話料の比較

通話料の比較です(税込)。

通話先 固定電話 SMARTalk
県内 8.25円 / 2分 35.20円 / 2分
県外 15.95円 / 2分 35.20円 / 2分
携帯電話 17.60円 / 1分 17.60円 / 1分
国際電話(アメリカ) 9.00円 / 1分 16.00円 / 1分
国際電話(中国) 29.00円 / 1分 16.00円 / 1分
国際電話(中国) 30.00円 / 1分 16.00円 / 1分
IP電話(SMARTalk以外①) 11.55円 / 3分 ※ 52.80円 / 3分
IP電話(SMARTalk以外②) 11.88円 / 3分 ※ 52.80円 / 3分
IP電話(SMARTalk) 11.55円 / 3分 0.00円 / 3分

SMARTalk提携プロバイダーおよび相互接続先IP電話の場合は無料

一部を除き通話料は全体的にSMARTalkが高いですが、
発信の頻度や固定費を考えると許容範囲内だと思います。

SIPアカウント情報の確認

SMARTalkのMYページへログインし、「ユーザアカウント情報」を選択します。

「SIPアカウント情報」の
  • ドメイン
  • SIPアカウント
  • SIPパスワード
を控えておきます。

各種設定

SMARTalkの設定をおこなっておきます。

着信転送/留守番電話設定

着信転送と留守番電話はどちらかを利用する、またはどちらも利用しないを選択できます。

今回は留守番電話機能が電話機にあるため、どちらも利用しないを選択しています。

着信拒否設定

着信拒否は、非通知拒否と指定番号拒否を設定できます。

今回は非通知拒否のみ設定しています。

VoIPアダプタの準備

VoIPアダプタは、グランドストリーム ネットワークス(Grandstream Networks)の
アナログ電話アダプタ(ATAs)であるHandyTone 812(HT812)を使用します。

HT812 | Grandstream Networks
The HT812 is a 2 FXS ports analog telephone adapter with an integrated NAT router that is easily deployable and manageab...

電話番号を1つしか使用しないのであれば、HT801があります。

HT801 | Grandstream Networks
The HT801 is a 1 FXS port analog telephone adapter that is easily deployable and manageable.

また、電話番号を2つ使用する場合でも、安価なHT802があります。

HT802 | Grandstream Networks
The HT802 is a 2 FXS port analog telephone adapter that is easily deployable and manageable.

HT812はルータ機能を搭載していますが無効化する予定です。
にもかかわらずこの機種を選んだのは、上記HT801, HT802はLANが100Mbps接続であり、
HT812のLANは1000Mbps接続だったためです(ギガビットイーサで合わせたかった)。
ギガビットイーサにこだわりがなければ、HT801, HT802も選択肢に入ると思います。

VoIPアダプタの接続

VoIPアダプタにLANケーブル(ルータ)と電話線(電話機)をつなぎ、
ACアダプタを接続して電源を入れ、本体の地球儀マークが点灯する事を確認します。

VoIPアダプタの設定はブラウザでおこないますが、
アクセスするためにはVoIPアダプタのIPアドレスが必要となります。

ルータの設定画面からVoIPアダプタのIPアドレスを取得する

ルータに接続されている機器が表示できる場合、
割り当てられたIPアドレスを確認します。

VoIPアダプタに接続した電話機からIPアドレスを確認する

上記方法が使用できない場合、VoIPアダプタに接続した電話機を操作して確認できます。
① 電話機の受話器を上げ、[*]を3回押す([*]→[*]→[*])
② 「Enter a Menu Option.」と音声で応答があるので、[0]→[2]の順に押す
③ 「IP Address」の後にIPアドレスが英語で読み上げられるので、メモをとる

ファームウェアのアップデート

製品の購入時に書き込まれているファームウェアはかなり古いバージョンなので、
製造元から最新のファームウェアをダウンロードします。

ファームウェアバージョン1.0.39.4までの更新方法は、こちらを開いて下さい
この手順は、バージョン1.0.41.2以降では使用できません。
詳細はバージョン1.0.41.2のリリースノート(PDFファイル)を参照して下さい。

ファームウェアのダウンロード

ファームウェアは以下のリンクからダウンロードできます。

Firmware- Grandstream Networks
Firmware updates and more.

「Gateways and ATA’s」の「HandyTone ATA’s」にあるModel「HT812」の
General Firmware(この画像では1.0.39.4)をダウンロードします。

ダウンロードしたファイル(Release_HT812_HT814_1.0.39.4.zip)を解凍し、
ファームウェアファイル(ht81xfw.bin)を準備します。

VoIPアダプタへのアクセス

VoIPアダプタのIPアドレスへウェブブラウザからアクセスします。

割り当てられたIPアドレスが「192.168.1.10」だった場合
→「http://192.168.1.10」へウェブブラウザでアクセスする

ログイン

ログイン画面が表示されたら「Username」と「Password」に「admin」を入力して
[Login]ボタンを押下します。

ファームウェアのバージョンによっては
「Username」が表示されない場合があります。
その場合は「Password」に「admin」を入力して[Login]ボタンを押下します。

ファームウェアの更新

ファームウェアバージョン1.0.39.4までの更新方法は、こちらを開いて下さい
この手順は、バージョン1.0.41.2以降では使用できません。
詳細はバージョン1.0.41.2のリリースノート(PDFファイル)を参照して下さい。

「STATUS」タブが表示されたら「ADVANCED SETTINGS」タブを選択し、
「Upload Firmware:」の横にある[Upload from local directory]ボタンを押下します。

ファームウェア更新ページが表示されたら、
「Upload Firmware From Local Directory:」
の横にある[ファイルを選択]ボタンを押下し、
先程準備したファームウェアファイル(ht81xfw.bin)を選択します。

[ファイルを選択]ボタン横に「ht81xfw.bin」が表示されていることを確認し、
[Upload Firmware]ボタンを押下します。

「STATUS」タブが表示されたら「ADVANCED SETTINGS」タブを選択し、
「Firmware Upgrade and Provisioning」内にある以下の項目を変更します。

各項目の値は、ファームウェアアップグレードガイド(PDFファイル)を基にしています
変更する項目 変更後の値
Upgrade Via HTTP
ファームウェアサーバへHTTPで接続します
Firmware Server Path firmware.grandstream.com
メーカ指定のサーバURLを設定します
Config Server Path (空白)
使用しないため削除します
Automatic Upgrade No
自動でファームウェアを更新しないように設定します
Always Check for
New Firmware at Boot up
(選択する)
再起動時に最新ファームウェアへ更新します

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
  その後、再度「ADVANCED SETTINGS」タブを選択し、ページ下部の[Reboot]を押下します。

本体の全マークが点滅してファームウェアのアップデートが実行され、
地球儀マークが点灯する事を確認して「Click to relogin」リンクを押下します。

ログインページが表示されればファームウェアのアップデートは完了です。

VoIPアダプタの設定

再びログインして各種設定をしていきます。

以下は、各タブの変更が必要な箇所のみをピックアップしています。

BASIC SETTINGS

タイムゾーンとルータの動作モードを変更します。

変更する項目 変更後の値
Time Zone GMT+09:00 (Japan, Korea, Yakutsk)
機器のタイムゾーンを日本に設定します
Device Mode Bridge
ルータ機能を無効にしてスイッチングハブとして使用します

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。

ADVANCED SETTINGS

ログインパスワードと電話の音に関する設定、NTPサーバの設定を変更します。

変更する項目 変更後の値
New End User Password 英大文字,英小文字,数字が入った8~20文字
新しいログインパスワードを設定します
Confirm End User Password 英大文字,英小文字,数字が入った8~20文字
新しいログインパスワードを設定します(確認用)
System Ring Cadence c=1000/2000;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
Dial Tone f1=400@-19,c=0/0;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
Ringback Tone f1=400@-19,f2=385@-20,c=1000/2000;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
Busy Tone f1=400@-19,c=500/500;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
Reorder Tone f1=480@-19,f2=620@-19,c=1500/1500;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
Confirmation Tone f1=600@-16,c=250/250;
NTTの電話サービスのインタフェースを基に設定します
NTP Server ntp.nict.jp
NICT公開NTPサービスを設定します

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
  ページ更新後はNew Admin PasswordとConfirm Admin Password
  がカラになりますが、正常に反映されています。

VoIPアダプタをインターネットに直接接続する場合は、
追加で下記の設定も必要です(イタズラ電話防止のため)。

変更する項目 変更後の値
Check SIP User ID
for incoming INVITE
Yes
着信時に相手のSIPユーザIDを確認します
Allow Incoming SIP Messages
from SIP Proxy Only
Yes
SIP通信の着信をSIPプロキシ経由に限定します

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。

PROFILE 1

SMARTalkの仕様情報を設定します。

変更する項目 変更後の値
Primary SIP Server smart.0038.net
「SIPアカウント情報」の「ドメイン」を設定します
NAT Traversal Keep-Alive
SMARTalkのサーバと切断されないように設定します
Preferred Vocoder choice 1 G722
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい
Preferred Vocoder choice 2 G722
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい
Preferred Vocoder choice 3 G722
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が一番大きい
Preferred Vocoder choice 4 PCMU
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい
Preferred Vocoder choice 5 PCMU
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい
Preferred Vocoder choice 6 PCMU
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が2番目に大きい
Preferred Vocoder choice 7 iLBC
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が4番目に大きい
Preferred Vocoder choice 8 iLBC
SMARTalk対応コーデックで使用帯域が4番目に大きい
SLIC Setting JAPAN CO
電話機の仕様を日本に設定します
Caller ID Scheme NTT Japan
ナンバー・ディスプレイの仕様をNTTに設定します
Gain TX +2dB
受話器のマイク音量を上げる設定です

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。

SMARTalk対応コーデック

PROFILE 2

今回はこの設定を使用しないため、変更しません。

FXS PORTS

User Settingsは「Port 1」のみ設定します。

変更する項目 変更後の値
SIP User ID SIPアカウント(電話番号から050を取り除いたもの)
「SIPアカウント情報」の「SIPアカウント」を設定します
Authenticate ID SIPアカウント(電話番号から050を取り除いたもの)
「SIPアカウント情報」の「SIPアカウント」を設定します
Password SIPパスワード
「SIPアカウント情報」の「SIPパスワード」を設定します

※ 変更後はページ下部の[Apply]ボタンを押下して下さい。
  ページ更新後はPasswordがカラになりますが、正常に反映されています。

設定は以上となります。

設定中の画面について

設定中に表示される画面についての解説です。

再起動が必要

再起動して設定を反映する必要があります。
[Reboot]ボタンを押下して機器を再起動します。

再起動中

再起動中です。
本体の地球儀マークが点灯した後、
[Click to relogin]を押下してログインし直し、設定を継続します。

設定の保存完了

設定の保存が完了しました。
各タブを選択して設定を継続します。

設定後の「STATUS」タブ

「Port Status」の「Port」にある「FXS 1」行の「Registration」が、
「Registered」になっていれば正常に使用できる状態です。

また、本体の電話機1アイコンも点灯します。

「CDR File」は発着信履歴をダウンロード(CSVファイル),
表示(最新1000件まで),削除が可能です。

後は、実際に発着信を試してみて正常に通話出来るか確認して終わりです。

おわりに

物価上昇による様々な物やサービスが値上がりする中、
不要な支出を抑えて自衛していく必要があります。
固定電話の重要性が低下したからこそできる方法でもあります。

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